こんばんわ。
アニマル浜口と浜口京子の親子関係を見ているだけで涙腺に気合いが入らなくなる、僕です。
いやーあの親子関係ってホントに素晴らしいですよね。
まーでも昔はあの親子を見ても何も感じないどころか、見てて恥ずかしくなるような白けた男でした。
福山雅治の『家族になろうよ』を聴いても、「よーわからんし百年経っても好きでいれるか以前に百年生きれんし、そもそもお前独身じゃねーか」とチイ兄ちゃんにムカついていたほど冷めた男でした。
その挙句、「家族が好きなら先にひとつ屋根の下に住んでた妹の小雪を救ってやれ」と碧いうさぎがずっと一人きりで震えながら待ってる気持ちを代弁していた、そこだけは逆に温かい男でした。
でも不思議なもんで、年を取っていくと感受性が少しずつ変わってきました。
アニマル浜口も京子も素敵。あんまり表に出ないお母さんも素敵。
福山さんも家族を作って説得力が増してきたから、あの歌詞に文句なんか一つもない。
ギリギリ百年くらいならなんとか生きれそうな気がしてる。
のりピーも心配してたけど、なんだかんだで幸せそうだし、俺より何百倍も金持ってるだろうから、まず自分の心配することに切り替えた。
とにかく最近になって「家族っていいな」と強く思うようになってきましてね。
その原因はなんだろなーと考えたんですけど、まー恐らく奥さんが妊娠してるからでしょう。
待望の第一子が誕生間近なもんで、期待と不安で胸がいっぱいの毎日です。
だから家族愛みたいなものに異常に反応してるんだと思います。
この感情ってみんな体験してるものなんかな?
と思ってた矢先、友達の潤一郎が奇しくも僕と同じタイミングで子供が誕生する予定だと聞いた。
嬉しい知らせを聞いた俺は潤一郎にすぐ電話をした。
お互いの近状報告をするうちに、お祝いも兼ねて久しぶりに飲みに行こうとなった。
折角だからあと一人くらい誘おうぜとなり、共通の友達であるショウゴを誘うことにした。
で、彼も一緒に飲むことになったんです。
この男は数年前から仕事も独立。さらに高身長でスタイルも良くてオシャレ。
そして、とにかくイケメンだ。イラつくが認めざるを得ない。
しかし、そんな彼はなぜかずっと彼女がいないのだ。
絶対にモテるはずなのに、ずっといない。
こんなハイスペックのイケメンなのに彼女がいない独身男性なんて、なにかしら問題があるに決まってる。
だから俺は、ずっとホモなんだと思っていた。
それ以外考えられなかった。
もし仮にホモじゃないのであれば、彼女ができない理由はおそらくこの二択だろう。
「くそサイコパスな奴」or「相当面食いな奴」。
今度の飲み会では、そこらへんも徹底的に追及してやろうと潤一郎と心を一つにした。
そして飲み会の当日。三人の話は大いに盛り上がった。
話題のほとんどが僕と潤一郎の生まれてくる子供の話ばかり。
「男か女か?」「名前は何にする?」「もう子ども服買った?」
そんな話をニコニコと相槌を打ちながら聞いてくれるショウゴ。
優しい男だ。今から地獄の取り調べが始まるということも知らずに。
ある程度お互いの近状報告も落ち着いたところで、トークテーマは「イケメンなのに彼女いない人はホモか面食いかサイコパス説」へと切り替わった。
まず潤一郎が話を振る。
「てかさ、ショウゴ彼女できた?」
「いや、できてないね」
苦笑いを浮かべながら即答で答える。
そのあまりの即答さに「お前やっぱりホモ確定だろ?」と俺が言おうとした瞬間、先に潤一郎の口から今まで俺が知らなかった衝撃の事実が暴かれる。
「てか、お前スゲーB専だよな」
渾身のパンチラインが突き刺さった。
潤一郎は顔色一つ変えず真顔で答えるがゆえに、逆にその言葉に重みが増してくる。
ラブストーリーばりの突然のディスに慌てふためくショウゴ。
何から伝えればいいのか、わからないまま時が流れる。
そして数秒の沈黙の後、彼はこう答えた。
「いやいやいや、そんなことないでしょ!」
そんな浮かんでは消えていきそうなありふれた言葉では説得力は皆無だ。
もはや確信を突かれたようなもんだった。
そこに間髪入れず言葉のナイフを突き刺す潤一郎。
「そんなことあるし。だって前の彼女アレでしょ。アレと付き合うなんて逆に感動したもん」
落ち着き払った口調でとんでもない切れ味。
ナイフどころかチェンソーで切り込んできやがった。
殺傷能力ありすぎる。
てかコイツなに感動してるんだ。
ショウゴも絶対そんな不名誉な賜盃いらねーだろ。
「そんな・・・」
返す言葉がないショウゴ。
完膚なきまでのクリティカルヒット炸裂の瞬間を目撃した俺は、こう思った。
「潤一郎、どんだけデリカシーないんや・・・」
俺が今まで聞いた「それはちょっとデリカシーなさすぎランキング」の上位にランクインするほどのパンチラインだった。(ちなみに不動の一位は、ある友達の飲食店が潰れた際、励ましを兼ねて飲み会を開いた時にN君が言った「お前の店いつも人おらんかったもんね。そら潰れるわ。で、借金いくらあっと?笑」のスペシャルコンボです)
元カノだろうけど、一度は愛した女。
その女性のことをあそこまで自信に満ち溢れた表情で断言されたらたまったもんじゃない。
さすがにショウゴもテンションが少し落ちていた。
俺も同じようなことをこんなに力強く言われたら、悲しくて仕方ないだろう。
とりあえずここは心遣いのスペシャリストである俺が励ますしかないと思い、必死で声をかけた。
「まーいーじゃん。俺なんかお前のことホモと思ってたくらいだぜ」
「B専の方がいいよ。お前はカッコいいし、ライバルが減るし勝率高くなるだけじゃん」
自分でも励ましてるのか馬鹿にしてるのかわからなかったが、とにかく気持ちを落ち着かせることに成功し、別の話題に切り替えた。
そして一件目の会計を済ませた俺たちは、二件目に移動する。
次に向かったお店は、共通の友人が営んでいるバーだ。
カウンター越しの店主の友人を交えて四人で乾杯。
少し飲んだところでやっぱりあの話題が復活する。
「ショウゴは本気でB専だよね」
そう誰かが口にした。まー恐らく、いや間違いなく潤一郎ですが。
しかしこの店でのショウゴは違った。
心の準備ができていたのか先ほどの店とは違い、力強く「俺は絶対にB専じゃないぞ!」と反論してきたのだ。
「いやB専はいいことだけん早く認めろこのB専が」と冷たく論する潤一郎。
しかし、全然認める気配がない。
そこで俺は質問をした。
「じゃあさ、ショウゴが一番好きな芸能人は誰よ?」
人間なら誰しもが一度は聞かれたことがあるだろう定番の質問だ。
その質問に対して彼は口ごもった。
「えー、、、、誰かなー、、、、」
ちょっと待て。
そんな不意を突かれたようなリアクションやめろ。
パッと答えれるはずだろパッと。
今までの人生で何十回も聞かれたことあるだろうが。
てか好きな芸能人一人や二人はすぐ言えるだろ普通。
何を無駄なシンキングタイムを作ってるんだよ。
知らないフリとかすんな。カッコ悪いよ。
まさかお前はまだ「テレビとかあんまり見ないわー」とか言うのがカッコいいと思ってるタイプの人間か?
「テスト勉強してないわー」「最近全然寝てないわー」に並ぶくそダサい考え方ランキングの上位に選ばれてるやつだよそれは。
サクッと返事をしてもらいたかった俺は語気を強めて言った。
「そんわけないだろ!一人くらいおるだろ!早く答えろや!」
そう切れ気味に捲し立てるとショウゴは慌てて口を開いた。
「えーっとアレだよアレ。あの、、、、タケノウチなんとか、、、、」
おい。テメーおい。
なんだその芸能人の名前とかあんまり知らないです風の感じは。
でたよ!あーでたよでたよ!
もうそんな茶番はやめてくれ!
それな、AKB興味ないとか言いながら名前結構知ってて、政治に興味あるフリしてるくせに政治家の名前一人もいえないタイプと一緒だから!
最初っからわかってるくせに知らんふりすんなよ!
てかタケノウチなら豊しかいねーし。
やっぱお前ホモじゃねーか!!!
もうなんだよコイツ。
とにかく話を進めたい俺は言った。
「それって竹内結子のことじゃ?」
「あ、そうそう。それ!」
なんだこの茶番は。
最初から竹内結子ってわかってただろーが。
なんで一回「タケノウチ」とか嘘くさい間違いを挟んで芸能人に興味ないフリをするんだよ。
「最初からわかってたくせにわざと間違うな!めんどくせぇよ!」
俺はあまりのイライラに激しい罵声を浴びせたらショウゴが少し焦りはじめた。
すると彼は自らこんな提案をしてきた。
「いや、ごめんごめん。じゃあさ、MAXで好きな人言っていい?」
なんだよコイツ。ここにきて乗ってきやがった!
自らライドンタイムしてきたぞ!
いーじゃんいーじゃん!最初からそう来いよ!
しかし、なんか渋めのカテゴリーだな!MAXで好きな人って!
でもなかなかいいぞ。四択ってのがいいな。
俺たちはちょうど四人いたし。
だから全員が「せーの」で言うことになった。
B専とは話が少しずれたが、これはこれで面白い。
綺麗に四人に分かれたらさらに面白いなーと思い、掛け声を言った。
「それじゃいくよ。せーの!」
「ナナ!」「リナ!」「レイナ!」
「ハセジュン!」
全員「え?」
ショウゴ「だから長谷川潤!」
ショウゴ以外の三人はまったく状況が呑み込めなかった。
すると彼はこう答えるのであった。
「だけんマックスで好きな人よ!」
そっちのマックスかーーーい!!!!
最高級のマックスかーーーい!!!!
この話の流れでそっちのMAXの意味で答える人いるわけねーだろ!!
そっちの意味で汲み取るの不可能だろーが!!
大体がそのマックス好きな人は最初の質問の時に言えや!
なんで好きな芸能人聞いた時に竹内結子って言ったんや!
そこでハセジュンて言うだろ普通!
なんやその無駄な出し惜しみは!
竹内結子と言った時の俺たちのリアクションが悪かったからって、とっておきを言い直すなて!
一番好きな人の名前は胸の内に隠して乗り切ろうとすんなて!
小学生の純情な感情かて!
なんでコイツとこんなに話が噛み合わないんだ・・・
嗚呼、そういえば昔、これと似たような経験があったな・・・
昔々、あるところに田中という名の友達がいた。
どこにでもいそうな平凡な名前とは裏腹に、彼は人間としては色々平均以下だった。
そんな彼からある日突然、飲みに誘われたのだ。
待ち合わせ場所に行くと既に飲んでいた田中から突然「来週からカナダで仕事することになった」と言われた。
俺は驚き、自分の耳を疑った。あの田中がカナダだと?
直ぐに問いかけた。
「お前がカナダ?名前の通り平凡極まりないお前がカナダに行くの?なんで?」
すると「ネット関係の仕事で行くんだ」と言う。
なんでネット関係の仕事でわざわざカナダにいく必要があるんだと疑問に思ったが、海外に行ってまでやりたいビッグな夢と、それを実現するチャンスが彼に転がってきたと思うと、正直とても羨ましくもありカッコいいと思った。
そして心から応援しようと思えた。その日はずいぶんと二人で飲んだ。
あれから数か月後、田中はどうしてるか気になってメールをした。
「おい田中、調子はどうだ?カナダおもしろいか?」
すると田中から帰ってきた返事、それは、
「元気よ。てかカナダってなに?俺いま神奈川にいるよ」
あの時、俺はなぜ一度は疑ったはずの自分の耳をあっさり釈放してしまったのだろうか。
あそこでしっかり逮捕しておけばこんなことにはならなかったはずだ。
自分の難聴さと酔った田中の糞みたいな活舌の悪さがクロスオーバーしたあの日以来の噛み合ってなさが今まさに再現されているのだ!
話を戻そう。とにかくショウゴの答えに俺たちは爆笑した。
アンジャッシュのコントを彷彿とさせるなとゲラゲラ笑う。
そしてこの流れが面白くなり、違うお題を出したくなった。
すると友達の店主が口を開く。
「じゃあさ、SPEEDで一番好きなの誰かやろう!」
MAXからのSPEEDという流れ。
これは最高の流れだ。
そしてこれ、もうフリだから。
ショウゴくん、ここは真面目に答えてほしくないところだよ。
もうね、しっかりボケてほしい。
ショウゴが「わかった!スピードで好きな人ね!」と笑いながら言ってきた。
うん、もう俺たちのフリに気づいただろう。
何と答えれば面白いか汲み取ってくれただろう。
この完璧なネタフリをバシッと決めてほしい。
しっかりボケてくれ!頼むぞショウゴ!
「それじゃあ行くぞ!せーの!」
「ヒロ!」「多香子!」「絵里子!」
「ヒトエ!」
全員「えっ?」
ショウゴ「だからヒトエ!」
そこはキアヌリーブスかサンドラブロックて答えるところだろーーーが!!!!
最低限でアイルトンセナだろーーーが!!!!
気づけや!フリに気づけや!!
「そっちのスピードかーい!」て突っ込ませろや!!
なにを真面目にヒトエって答えてるんだ馬鹿野郎が・・・
てかやっぱB専じゃねーーーかコラぁぁぁぁぁぁ!!!!
いやそれはヒトエに失礼だろ!!!
ごめんヒトエ!言い過ぎた!!
大人になったヒトエは好きだから!
最新のヒトエは全然見てないけど、生き方とかファッションとか今振り返ると好きだから!
ただ若かりし頃のもろSPEED世代の俺たちからすれば、ヒトエは選んでなかったって話ね!
と、とにかく、まったく話もかみ合わず、フリにも気づかず、もてあそばれ続けたショウゴくんに、俺たちが見つけたような素敵な女性が現れますように。
とりあえず誰か長谷川潤似の子を紹介してください。